新型コロナの事業者向けの融資が発表された

新型コロナウィルスの影響で、お客さんが減った、売上が減った、仕事の予定が延期やキャンセルになったなどの理由で資金繰りに頭を悩ませている個人事業主やフリーランス、小規模の中小企業の経営者さんも多いと思います。

私のお客さんや経営者仲間からも、イベントがキャンセルになったり、プロジェクトが延期になったりで…

「あてにしていた売上が入ってこな~い(涙)」「〇カ月分の大きな仕事が丸ごとキャンセルになった」

と嘆いている声が聞かれます。ホント、泣きたくなる気持ち分かりますよね。

そんな中、国が事業者向けに金融措置をしていることは連日のニュースでご存知かと思います。そして、その中で「実質無利子」や「無担保」の言葉をよく耳にするになりました。

その融資とは日本政策金融公庫などが行う「新型コロナ感染症特別貸付」です。

経済産業省のHPに記載の事業者向け支援策 の案内

利子補給で金利負担が実質ゼロ、担保なしの借り入れ、最長で5年間の元金の返済が不要とあります。ですが、事業者にとっては経験のない事態。

「コロナで経営にどれくらいの影響があれば、融資が受けられるの?」

「実際のとこ実質無利子の融資って何なの?」

「すでに苦しいのに無利子といえど、さらに借入である”融資”をしていいのかな?」

色々、疑問や不安もあると思いますよね。まずは、この融資が実際はどんなものか一緒に見ていきましょう。

※記事は経済産業省のホームページと日本政策金融公庫に問合せた内容などを含めてご紹介していますが、情報は日々更新されていて、個人的な解釈の情報に間違いがあったり、古くなっている場合があります。 最新の情報は必ずこちらからご覧ください。

【参考 】 経済産業省|新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ


「新型コロナ感染症特別貸付」て何?

新型コロナ感染症特別貸付は日本政策金融公庫などが行っています。

日本政策金融公庫(以下、金融公庫)と言えば、「国の教育ローン」などでおなじみの政府の金融機関。低利息で他の金融機関とくらべると比較的借りやすいので、創業するとき融資を受けたという人もいるかもしれません。

そんな国の金融機関が新型コロナの影響により資金繰りに困っている中小企業など向けに行う「新型コロナウイルス感染症特別貸付」。概要はこんな感じになっています。

新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要

融資対象 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業況悪化を来たし、次の①または②のいずれかに該当する方

 ① 最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方
 
又は

 ②業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満 の場合等は、最近1ヶ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少している方
・ 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月~12月の売上高平均額※個人事業主(事業性のあるフリーランスを含み、小規模に限る)は、影響に対する定性的な説明でも柔軟に対応。
資金の使いみち 運転資金、設備資金
担保 無担保
貸付期間 設備20年以内、運転15年 以内
うち据置期間 5年以内
融資限度額 中小事業3億円、国民事業6,000万円
金利 当初3年間 基準金利▲0.9%、

「融資対象」は1カ月の売上が前年比-5%以上

上の表の「融資対象」をご覧ください。例えば、あなたが事業を始めて1年1ヶ月以上たっていた場合で今回はご説明します。

その場合 ①になるので、こちらの融資の対象になる方は、最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方とあります。

つまり、例えば今年2020年3月の売上高が、2019年3月か2018年3月のどちらかの売上と比べて5%以上下がっていれば対象になるということです。前年だけでなく、前々年度でもいいんです。

(例)3月なら比較するのは
  2020年3月売上   ⇔ 2019年か2018年の3月売上 

今年の売上とは、自分の売上が記載してある帳簿を参考に自分で申告するものです。いずれ数字の根拠となる書類を確認される可能性あります。前年などの売上は決算書や確定申告などの月別売上を参考にすればいいようです。

もし、前年度や前々年度と単純に比較できないなどの理由で売上が上がっていても、国民公庫に相談できるようですのであきらめずに聞いてみて下さい。


「資金の使いみち」事業主の生活費としては申請NG

資金の使いみちは運転資金、設備資金とあります。運転資金とは物を仕入れたり、従業員への給料やテナントの家賃などです。

設備資金とは、事業に必要な製造機械や空調設備など設備を購入する際の資金です。事業で新型コロナ対策をする上で必要になる設備などですね。

この融資は残念ながら個人事業主さんの生活費としては申請できません。融資が下りた後、基本的には運転資金などは領収書などの日本政策金融公庫ヘの提出は必要ありませんが、設備資金の場合は領収書などが必要です。


「据置期間は5年」とあるけど実際には…

据置期間は最長5年とあります。据置期間とは融資の元金を払い始めるまでの期間ということです。

元金を払わなくても利息の支払いはありますが、利息のみですので返済の負担が軽くなります。ただし、政策金融公庫によると、誰もが5年というわけではなく、各事業によって変わるそうです。

多くの事業者が半年から1年の据置期間で返済するように手続きしているようですよ。


「金利」は実際はどれくらい?

上の対象の表には金利は「当初3年間 基準金利▲(マイナス)0.9%」とあります。

金融公庫によると、災害貸付の基準利率は1.36%です。(令和2年4月1日現在)

災害貸付の基準利率1.36% - 0.9% = 0.46%
  つまり はじめの3年間は金利は0.46% になります
  ※小規模事業者や個人事業主 向け融資の場合

そして、4年目以降の金利は1.36%に戻るということです。なので、4年以上の返済計画をたてる場合は注意しなければなりません。

【参考 】  日本政策金融公庫 災害貸付の基準利率

「あれ?経産省のホームページやニュースなどでは実質無利子とあったのに、金利があるの?」と思った方もいるかもしれません。


実質的に無利子になるのは「特別利子補給制度」

実は「実質無利子」は全ての「新型コロナ感染症特別貸付」で融資を受けた人に全員に適用されるのではありません。

コロナの影響の大きいフリーランスを含む個人事業主や、売上高が急減した法人の事業者が「特別利子補給制度」という制度を組み合わせることで行うことで実質無利子化が適用されるのです。

実質無利子で借りるためには
「新型コロナ感染症特別貸付」+「特別利子補給制度」
  の両方の制度を使う必要がある

そして、実質無利子ということは、借入期間中の金利はいったん事業者である私たちが払うけど、後日に返してもらえる、つまり“利子補給”をしてもらえるということです。

では、どんな人が適用の対象となるかはこちらをご覧ください。さっきより、さらに適用対象の条件が厳しくなっているのが分かります。

特別利子補給制度の概要

適用対象 日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」若しくは商工中金による「危機対応融資」により借入を行った中小企業者のうち、以下の要件を満たす方

個人事業主(事業性のあるフリーランス含み、小規模に限る):要件なし
小規模事業者(法人事業者):売上高▲15%減少
中小企業者(上記➀➁を除く事業者):売上高▲20%減少

※小規模要件・製造業、建設業、運輸業、その他業種は従業員20名以下・卸売業、小売業、サービス業は従業員5名以下
利子補給 期間:借入後当初3年間
・補給対象上限:(日本公庫)中小事業1億円、国民事業3,000万円 (商工中金)危機対応融資1億円

個人事業主(小規模は要件なして適用対象になります。つまり、新型コロナウイルス感染症特別貸付を借りられたら、自動的に特別利子補給制度で実質無利子で借りられるということですね。

小規模事業者は、売上が15%以上の減少、中小企業者は20%以上の減少である必要があります。そして、こちらも実質無利子で借りられるは融資を受けてから3年間です。

やはり4年を超える返済計画だと、実質無利子ではなくなるようなので注意しなければなりません。

自身の会社が小規模事業者かどうかは以下の表をご覧ください。

小規模事業者 の定義

卸売業・小売業 常時使用する従業員の数 
5人以下
サービス業
(宿泊業・娯楽業以外)
常時使用する従業員の数 
5人以下
サービス業
(宿泊業・娯楽業)
常時使用する従業員の数 
20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数 
20人以下

ただし、特別利子補給制度はまだ詳しい情報や事務局の案内が出ていません

金融公庫が行っている制度ではないので、新型コロナウイルス感染症特別貸付と同時に金融公庫で申し込む訳ではないようです。

東日本大震災の時を参考にすると、今の段階で新型コロナウイルス感染症特別貸付を借りた人には、特別利子補給制度の事務局からDMなどの案内が来るという感じではないでしょうか。

利子補給の申請方法等、具体的な手続きについては、詳細が固まり次第、中小企業庁HP等で公表予定ということなので、随時、最新情報をご確認ください。

中小企業庁HP


早く申し込まないと受付枠がなくなる?

金融公庫によると、新型コロナウイルス感染症特別貸付に申込期限はなく、また、本特別貸付は十分な融資規模に対応できる予算が手当てされているので心配ないようです。

そして、 新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資は必要であれば何回でも借りることができます。なので、とりあえず3か月分の運転資金を借りて、まだ状況が落ち着かない様子なら、また借りるということも可能です。


まとめ

条件があえば、個人事業主や中小企業が無利子・無担保で借りられる新型コロナウイルス感染症特別貸付と特別利子補給制度。

ただ、事業者にとっては、「この厳しい状況で将来的にお金を返さなくてはいけない融資じゃなくて、出来たら助成金がいい!」というのが本音かもしれません。

事業者向けの返済不要の補助金なども存在しますが、販路拡大などを目的にしている事業者にのみ適用されるものです。(以下の記事で書きました。)

補助金制度について読む
小規模事業者持続化補助金の最大50万円で動画広告が作れる?【2020年版】

小さな個人事業主や小さな会社の中には、ただでさえ、毎月ギリギリなのに、このまま経済が悪化し続けたらどうしようと先が不安になると、不安で仕事に集中できません。

「融資も検討してるけど、どうしてまた借金を背負って苦労して返済していかなければならないのか」

悔しい気持ちは、とてもよく分かります。使える融資や補助金、自治体のサポートなど出来る限り情報を集め、信頼できる人に相談しながら賢く利用していきましょう。

きっと日常に戻ったとき、あなたの商品やサービスを待っている沢山のお客様がいるはずです。あきらめないでください!


【新型コロナ感染症特別貸付 お問合せ先】

平日のご相談
日本政策金融公庫事業資金相談ダイヤル:0120-154-505
https://www.jfc.go.jp/
土日・祝日のご相談
日本政策金融公庫:0120-112476(国民生活事業)
         0120-327790(中小企業事業)

※記事は経済産業省のホームページと日本政策金融公庫に問合せた内容などを含めてご紹介していますが、情報は日々更新されていて、個人的な解釈の情報に間違いがあったり、古くなっている場合があります。 最新の情報は必ずこちらからご覧ください。

【参考 】 経済産業省|感染症関連

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